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CASE ── 業種別モデルケース|建設・工務店

工事件数が増えた建設会社で利益が残らない理由 ── 年商8.9億円・従業員27名のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、建設・工務店の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 工事件数が増えた建設会社では、①現場監督ごとに原価管理のやり方が違うこと、②着工前の実行予算が作られていないこと、③工期の延びで現場経費が膨らむことで、利益が漏れやすくなります。
  2. 工事が終わってから利益が分かる状態では、手を打つ時間がありません。
  3. 監督ごとの原価管理のやり方を統一し、工期の延びを早めに見つける仕組みにすると、年商8.9億円規模で完成工事総利益率3ポイント弱、年間約2,589万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種建設・工務店
年商8.93億円
従業員27名
主な取引先地元企業・個人施主・公共工事

起きていたこと

店舗・事務所・住宅の建築を中心に、現場監督6名で年間40件ほどを回しています。工事件数は増えましたが、原価管理は監督それぞれのやり方に任されており、完成工事総利益率は20%台から17.8%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

監督ごとに原価管理がばらばら

実行予算を作る監督と作らない監督がいて、同じ規模の工事でも利益率に大きな差がありました。

着工前に実行予算がない工事が多い

見積をそのまま予算扱いにしており、着工後に増えた資材や外注の費用が完工まで分かりませんでした。

工期の延びによる経費増

天候や段取りの遅れで工期が延びた工事では、仮設費や現場管理費が予定を大きく上回っていました。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

完工物件の実績を工種別に分析

直近の完工物件を工種別に分け、見積と実績の差が大きい工種と監督を特定する。

DAY 31〜60日

実行予算のひな形を全工事に

工種別の実行予算のひな形を作り、着工前に全工事で作成。追加・変更工事は合意書で記録する。

DAY 61〜90日

月次で予算と実績を比べる会議

毎月、工事ごとに予算と実績、工程の進み具合を確認し、ずれた工事に早めに手を打つ。

完成工事総利益率の変化(モデル)

BEFORE
17.8%
→
AFTER(想定)
20.7%
改善幅 +2.9pt / 年間の粗利増加 約2,589万円

計算:年商8.93億円 × 2.9ポイント = 約2,589万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

建設会社の利益は、着工前の実行予算と工期管理に大きく左右されます。監督のやり方をそろえることは、効果の大きい改善の一つです。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・工事部長・現場監督・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、工事別・工種別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

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よくある質問

監督が忙しく、実行予算を作る時間がありません。

ひな形を用意して工種ごとの数字を入れるだけにすれば、慣れれば1件あたり30分程度が目安です。

工期の延びは天候のせいで防げません。

延びた場合に経費がいくら増えるかを事前に把握しておくと、工程の組み直しや追加費用の相談が早くできます。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール