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CASE ── 業種別モデルケース|設備工事・電気工事

空調・電気・保守の3部門がある設備会社の粗利の見方 ── 年商17.3億円のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、設備工事・電気工事の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 空調・電気・保守など複数の部門を持つ設備会社では、①部門ごとの採算が分かれていないこと、②積算で使う材料・労務の単価が古いこと、③保守・点検契約の料金が長く据え置かれていることが、粗利を削りやすい要因です。
  2. 工事部門の利益で、採算の悪い保守契約を支えている構造に気づかないことがよくあります。
  3. 部門別・工事別の採算を出し、積算単価と保守料金を見直すと、年商17.3億円規模で粗利率3ポイント弱、年間約4,846万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種設備工事・電気工事
年商17.31億円
従業員104名
主な取引先ゼネコン・サブコン・ビルオーナー・管理会社(約76社)

起きていたこと

空調設備工事・電気設備工事・ビル設備の保守点検の3部門で、ゼネコンやビルオーナーから仕事を受けています。積算担当が見積を作っていますが、単価表の更新は年1回程度。保守契約の多くは10年以上料金が変わっていません。粗利率は22%台から19.9%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

部門別の採算が分かれていない

部門ごとに分けると、保守部門の粗利率が工事部門より大幅に低く、一部の契約は人件費の上昇で赤字になっていました。

積算の単価が古い

積算で使う材料と労務の単価が前年のままで、受注から施工までの間の値上がりが反映されていませんでした。

保守契約の料金が据え置き

点検の頻度や対象機器が増えた契約でも、料金は契約当初のままでした。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

部門別・工事別の採算を出す

売上と原価を部門別に分け、工事は工事別、保守は契約別に採算を一覧にする。

DAY 31〜60日

積算単価の更新と元請との交渉

材料・労務の単価を四半期ごとに更新する運用にし、労務費の上昇を示して元請に単価改定を申し入れる(2025年12月に全面施行された改正建設業法で、標準労務費などに照らして著しく低い労務費での見積り・契約は、受注者・注文者の双方に禁止されています)。

DAY 61〜90日

保守契約の料金を見直す

赤字の保守契約から、点検内容と料金の見直しをビルオーナー・管理会社に提案する。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
19.9%
→
AFTER(想定)
22.7%
改善幅 +2.8pt / 年間の粗利増加 約4,846万円

計算:年商17.31億円 × 2.8ポイント = 約4,846万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

部門が増えるほど、会社全体の数字では問題が見えにくくなります。部門別に分けて見ることで、どの契約を見直すべきかがはっきりします。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・工事部長・積算担当・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、工事別・部門別・元請別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

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どこで粗利が漏れているか、いくら取り戻せるかを、1日で数字にします。

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よくある質問

保守契約の値上げは、契約を切られるリスクがありませんか?

点検内容の変化と人件費の上昇を示し、内容の見直しとあわせて提案すると、受け入れてもらいやすくなります。

積算単価を四半期ごとに更新するのは大変です。

変動の大きい主要材料と労務単価だけを更新対象にすれば、手間はそれほどかかりません。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール