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CASE ── 業種別モデルケース|設備工事・電気工事

設備工事会社の粗利を削る割増・余剰材・据え置き単価 ── 年商9.4億円のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、設備工事・電気工事の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 設備・電気工事会社で粗利が漏れやすいのは、①夜間・休日工事の割増を請求していないこと、②現場で余った材料の持ち帰り・廃棄、③元請からの単価が据え置かれていることです。
  2. 人手不足で職人の人件費が上がる中、単価が変わらなければ粗利は減っていきます。
  3. 工事別に人工(にんく)と材料を突き合わせ、元請ごとに条件を見直すと、年商9.4億円規模で粗利率3ポイント、年間約2,917万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種設備工事・電気工事
年商9.41億円
従業員51名
主な取引先ゼネコン・サブコン・ビル管理会社

起きていたこと

ビルや工場の電気設備・空調設備工事が中心で、元請の多くはゼネコンやサブコンです。職人の確保のために賃金を上げてきましたが、元請からの単価はほとんど変わらず、粗利率は23%台から20.5%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

夜間・休日の割増が請求されていない

テナントが営業中の建物では夜間・休日工事が多いのに、見積は昼間の単価のままで、割増分を自社で負担していました。

現場の余剰材が管理されていない

多めに手配した配線・配管材が現場ごとに余り、倉庫に戻らず廃棄されるものが少なくありませんでした。

元請単価が数年据え置き

主要な元請3社のうち2社は、単価の見直しが数年間ありませんでした。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

工事別に人工と材料を突き合わせる

直近の工事について、見積の人工・材料と実績を並べ、差が大きい工事と原因(夜間、余剰材、手戻り)を特定する。

DAY 31〜60日

割増と単価の見直しを申し入れ

夜間・休日の割増率を見積に明記し、据え置きの元請には労務費の上昇を示して単価改定を申し入れる。

DAY 61〜90日

材料の手配と戻しのルールを作る

材料の発注量の基準と、余剰材を倉庫に戻して次の現場で使う流れを決める。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
20.5%
→
AFTER(想定)
23.6%
改善幅 +3.1pt / 年間の粗利増加 約2,917万円

計算:年商9.41億円 × 3.1ポイント = 約2,917万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

設備工事の粗利は、見積の「書き方」と現場の「段取り」で大きく変わります。労務費の上昇を根拠に単価を見直すことは、改正建設業法(2025年12月全面施行。著しく低い労務費での見積り・契約の禁止など)の考え方にも沿った正当な交渉です。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・工事部長・現場監督・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、工事別・元請別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

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よくある質問

元請との関係が悪くならないか心配です。

労務費の上昇データと工事別の実績を示して話せば、感情論ではなく条件の話になります。順番を決めて、関係の深い元請から相談するのが定石です。

小さな現場が多く、工事別に集計するのが大変です。

まずは金額の大きい上位20件程度で十分です。漏れの傾向はそこで見えます。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール