粗利ドック相談してみたい
粗利ドック›コラム›職人15名の電気工事会社が元請単価を見直すまで ── 年…
CASE ── 業種別モデルケース|設備工事・電気工事

職人15名の電気工事会社が元請単価を見直すまで ── 年商3.4億円のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、設備工事・電気工事の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 職人十数名の電気・設備工事会社では、①元請から支払われる人工(にんく)単価が長く据え置かれていること、②現場間の移動や待機の時間が無償になっていること、③材料を立て替えたまま上乗せせずに請求していることで、粗利が漏れやすくなります。
  2. 職人の賃金を上げても人工単価が変わらなければ、その分はまるごと粗利から消えます。
  3. 工事ごとの人工と材料を記録して元請と単価を相談すると、年商3.4億円規模で粗利率3ポイント強、年間約1,041万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種設備工事・電気工事
年商3.36億円
従業員17名
主な取引先地元のサブコン・工務店・ビル管理会社(約11社)

起きていたこと

社長と職人15名ほどで、地元のサブコンや工務店から電気工事を受けています。材料込みの請負工事が中心で、繁忙期は協力業者にも依頼しています。職人を確保するために日給を上げてきましたが、元請からの人工単価は数年前とほぼ同じ。粗利率は24%台から21.2%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

人工単価が数年据え置き

主要な元請3社とも、人工単価の見直しが数年間ありませんでした。職人の日給はその間に1割以上上がっています。

移動・待機時間が無償

1日に複数の現場を回ることが多く、移動や他業種の作業待ちの時間が人工に含まれていませんでした。

材料の立て替えに手数料がない

電線や器具を自社で仕入れて立て替えていましたが、請求は仕入値のままで、保管や運搬の手間が乗っていませんでした。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

工事ごとに人工と材料を記録

日報に現場ごとの作業時間・移動時間・待機時間と、使った材料を書く欄を作り、1か月分を集計する。

DAY 31〜60日

元請に人工単価の見直しを相談

職人の賃金の上昇と、移動・待機の実態を示して、人工単価と移動費の扱いを元請ごとに相談する(改正建設業法の考え方=著しく低い労務費での見積り・契約の禁止も踏まえる)。

DAY 61〜90日

材料の請求ルールを決める

立て替えた材料には一定の手数料を乗せて請求するルールを決め、見積に明記する。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
21.2%
→
AFTER(想定)
24.3%
改善幅 +3.1pt / 年間の粗利増加 約1,041万円

計算:年商3.36億円 × 3.1ポイント = 約1,041万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

小さな工事会社の交渉材料は、日報の中にあります。時間と材料を記録するだけで、人工単価を見直す根拠がそろいます。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・職長・経理担当へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、工事別・元請別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

ARARI DOCK ── 1日診断
どこで粗利が漏れているか、いくら取り戻せるかを、1日で数字にします。

代表が1日現場に入り、工事別・元請別の粗利をA4・8ページの診断レポートに。診断10万円(税抜)、診断だけで終了も可。成功報酬は増えた粗利額の20%にだけ連動します。

よくある質問

元請に単価の話をしたら、仕事を回してもらえなくなりませんか?

人手不足の中、安定して施工体制を組める協力会社は元請にとっても大切です。賃金の上昇データを示して相談すれば、条件の話として受け止めてもらいやすくなります。

職人に日報を書いてもらうのが難しいです。

スマホで現場名と時刻を送るだけの簡単な形にすると、続けやすくなります。

関連コラム

設備工事会社の粗利を削る割増・余剰材・据え置き単価 ── 年商9.4億円のモデルケース空調・電気・保守の3部門がある設備会社の粗利の見方 ── 年商17.3億円のモデルケース価格転嫁できないときの値上げ交渉の進め方 ── 順番・幅・根拠の作り方コラム一覧へ
執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール