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CASE ── 業種別モデルケース|食品製造(惣菜・菓子OEM)

2工場の食品メーカーで粗利がばらつく理由 ── 年商13.2億円・従業員142名のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、食品製造(惣菜・菓子OEM)の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 工場が2つ以上ある食品メーカーでは、①工場ごとの歩留まりの差、②取引先ごとに異なる物流費・販促費・センターフィー、③更新されていない標準原価が、粗利のばらつきを生みやすい要因です。
  2. 売上総利益だけを見ていると、物流費や販促費まで含めた取引先別の採算が見えません。
  3. 工場別・取引先別の採算をそろえ、価格と歩留まりを見直すと、年商13.2億円規模で粗利率約3ポイント、年間約3,972万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種食品製造(惣菜・菓子OEM)
年商13.24億円
従業員142名(パート含む・2工場)
主な取引先量販店・生協・コンビニベンダー・通販(約38社)

起きていたこと

惣菜と焼き菓子を2つの工場で製造し、量販店や生協、コンビニのベンダーに納めています。原材料や包材、物流費の上昇に対して、価格改定は取引先ごとに進み具合がばらばら。粗利率は26%台から23.1%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

工場によって歩留まりが違う

同じ品目でも、設備が古い工場では歩留まりが3〜4ポイント低いのに、設備の空き状況だけで生産工場を決めており、歩留まりの差が考慮されていませんでした。

取引先ごとの物流費・販促費が見えていない

センターフィーや販促協賛金、配送条件が取引先ごとに違い、売上から差し引かれるリベート・センターフィーまで含めると採算が大きく悪い取引先がありました。

標準原価が古い

原価計算の基準が数年前のままで、原材料の値上がりが製品別の原価に反映されていませんでした。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

工場別・取引先別の採算を出す

最新の原材料単価で標準原価を更新し、物流費・販促費まで含めた取引先別の採算と、工場別の歩留まりを一覧にする。

DAY 31〜60日

取引先ごとに価格と条件を見直す

採算の悪い取引先から、価格改定と、センターフィー・配送条件・販促協賛の見直しを申し入れる。

DAY 61〜90日

生産の割り振りを見直す

歩留まりの良い工場に品目を寄せ、歩留まりの低い工場では工程の標準化から改善する。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
23.1%
→
AFTER(想定)
26.1%
改善幅 +3.0pt / 年間の粗利増加 約3,972万円

計算:年商13.24億円 × 3.0ポイント = 約3,972万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

規模が大きい食品メーカーでは、粗利の漏れが「工場」と「取引先条件」に分散しています。両方を同じ表で見ることで、どこから手をつけるかが決まります。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・工場長・営業部長・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、品目別・取引先別・工場別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

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よくある質問

販促費やセンターフィーは見直せるものですか?

根拠を示して相談すれば、条件の見直しに応じてもらえることがあります。まずは取引先ごとの負担額を正確に把握することが前提です。

工場ごとに設備が違うので比べにくいです。

品目ごとの歩留まりと時間あたりの出来高で比べれば、設備が違っても判断できます。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール