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CASE ── 業種別モデルケース|食品製造(惣菜・菓子OEM)

パート中心の小さな食品工場で粗利を戻す順番 ── 年商3.7億円・従業員35名のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、食品製造(惣菜・菓子OEM)の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. パート従業員が中心の小さな食品工場では、①社長の勘で決めた価格が原材料高に追いついていないこと、②盛り付けや量目(重さ)のばらつき、③地元スーパー数社への依存が、粗利を削りやすい要因です。
  2. 1パックあたり数グラムの量目の差でも、年間では大きな原材料費になります。
  3. 品目別の原価を出し、量目の基準と価格を見直すと、年商3.7億円規模で粗利率3ポイント強、年間約1,153万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種食品製造(惣菜・菓子OEM)
年商3.72億円
従業員35名(パート含む)
主な取引先地元スーパー・道の駅・直売所(約17か所)

起きていたこと

自社ブランドの惣菜と和菓子を、パート従業員30名ほどで作っています。価格は社長が数年前に決めたもので、原材料や包材が値上がりしても一部しか改定していません。粗利率は28%台から25.3%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

価格が原材料の上昇に追いついていない

主力品目の原価を計算し直すと、数年前に比べて原材料費が2割近く上がっており、その上昇分のうち価格に転嫁できたのは半分程度でした。

量目のばらつき

表示量より多めに盛る習慣があり、主力品目で平均5〜8%の盛りすぎが出ていました。

地元スーパーへの依存

売上の大半を地元スーパー3社が占め、特売用の値引きにも応じ続けていました。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

主力品目の原価を計算し直す

売上上位15品目について、最新の原材料・包材の単価でレシピ別の原価を出し、価格との差を一覧にする。

DAY 31〜60日

量目の基準を決める

品目ごとに、下限は表示量を下回らないように(計量法の量目公差)、上限を決め、計量器と写真付きの手順で盛りすぎを減らす。

DAY 61〜90日

価格と特売条件を見直す

原価の上がった品目から価格改定を相談し、特売用の値引きは回数と幅に上限を設ける。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
25.3%
→
AFTER(想定)
28.4%
改善幅 +3.1pt / 年間の粗利増加 約1,153万円

計算:年商3.72億円 × 3.1ポイント = 約1,153万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

小さな食品工場の粗利は、交渉の前に「量目」と「レシピ原価」で戻せる部分があります。毎日の作業の基準をそろえることが、一番確実な改善です。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・製造責任者・経理担当へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、品目別・取引先別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

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よくある質問

盛りを減らすと、お客様の評判が落ちませんか?

表示量を守ったうえで、盛り付けの見栄えを工夫すれば評判は保てます。減らすのは「表示より多すぎる分」です。

原価計算をしたことがありません。

レシピと仕入伝票があれば計算できます。売上の大きい品目から始めれば十分です。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール