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COLUMN ── 粗利改善の実務

売上はあるのに利益が残らない原因 ── 製造業の「原価が見えていない」構造

公開 2026-10-02 | 執筆 大越 隆行
この記事の要点
  1. 売上があるのに利益が残らない会社に共通するのは、材料・外注・人件費が先に上がり、価格に乗せられていないことです。
  2. 原因は営業力でも販管費でもなく、「品番別・取引先別の原価が見えていない」ことにあります。見えていないから、値上げの根拠が作れません。
  3. まず確かめるべきは、材料高の前と比べて粗利率が何%落ちたか、どの品番・どの取引先で漏れているかです。

現場で起きている3つの症状

この3つは別々の問題に見えて、根はひとつです。価格と原価の関係が、品番別・取引先別に見えていないことです。

上がったコストの半分近くは、粗利から消えている

中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査」では、コスト上昇分のうち価格に転嫁できた割合は54.2%、原材料費は55.7%、労務費は50.0%でした。コスト上昇分を全額転嫁できた企業は27.3%(2025年9月調査)にすぎません。

転嫁できなかった分は、値引きしたのと同じです。売上の数字は変わらないまま、粗利だけが静かに減ります。だから決算を見ても「売上は悪くないのに」となります。

なぜ販管費を削っても解決しないのか

売上100万円の行方で考えると、材料費55万・外注10万・製造労務費18万を引いた粗利が17万、そこから販管費15.2万を引いた営業利益が1.8万、という構造の会社は珍しくありません。

販管費の層は役員報酬や給料、家賃です。ここを削れば人の話になり、しかも1.8万の営業利益を2倍にするには販管費を1.8万減らさなければなりません。一方、粗利の層は価格と原価でできています。粗利率を3%動かせば、営業利益は1.8万→4.8万、約2.7倍です。動かせるのは粗利です。

原因は「原価が見えていない」こと

「材料費×係数」で見積を作っている会社では、品番ごとの実原価が分かりません。すると、どの品番が赤字か、どの取引先の単価が3年据え置きかが分からず、値上げの根拠も作れません。

原価を品番別・取引先別に割り直すと、「忙しいのに儲からない」の正体が、特定の数品番・数取引先に集中していることが多くあります。

1日で確かめる方法

必要なのは、品番・SKU・案件・取引先のいずれかで売上データが出せること(生産管理システムでもExcelでも構いません)。粗利ドックは、代表が1日現場に入り、社長・工場長・経理へのヒアリングと見積の実物レビューを経て、取り戻せる粗利を品番別・取引先別に数字にします。診断だけで終えることもできます。

ARARI DOCK ── 1日診断
どこで粗利が漏れているか、いくら取り戻せるかを、1日で数字にします。

代表が1日現場に入り、品番別・取引先別の粗利をA4・8ページの診断レポートに。診断10万円(税抜)、診断だけで終了も可。成功報酬は増えた粗利額の20%にだけ連動します。

よくある質問

売上を増やせば利益は戻りますか?

粗利率が落ちたまま売上を増やしても、粗利の額は増えますが、忙しさと運転資金が先に増えます。先に粗利率を戻し、その上で売上を伸ばすほうが手元に残ります。

原価計算の仕組みがないと診断できませんか?

できます。むしろ出せていない会社が対象です。品番・SKU別の売上・数量データがあれば、材料費・外注費・直課労務費を割り当てて実原価を組み直します。

銀行から改善計画を求められています。使えますか?

診断レポートは御社のものとしてお渡しするので、銀行への説明資料として使っていただけます。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール