現場で起きている3つの症状
- 売上が伸びても、手元に残らない ── 材料・外注・人件費が先に上がり、粗利が薄いまま忙しくなる
- 人を増やしたのに、利益は減った ── 販管費を削れば「人の話」になる。削れるのは粗利の層だけ
- 値上げは、取引先の顔が浮かんで言い出せない ── 根拠の数字がないから「何%」と言えない
この3つは別々の問題に見えて、根はひとつです。価格と原価の関係が、品番別・取引先別に見えていないことです。
上がったコストの半分近くは、粗利から消えている
中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査」では、コスト上昇分のうち価格に転嫁できた割合は54.2%、原材料費は55.7%、労務費は50.0%でした。コスト上昇分を全額転嫁できた企業は27.3%(2025年9月調査)にすぎません。
転嫁できなかった分は、値引きしたのと同じです。売上の数字は変わらないまま、粗利だけが静かに減ります。だから決算を見ても「売上は悪くないのに」となります。
なぜ販管費を削っても解決しないのか
売上100万円の行方で考えると、材料費55万・外注10万・製造労務費18万を引いた粗利が17万、そこから販管費15.2万を引いた営業利益が1.8万、という構造の会社は珍しくありません。
販管費の層は役員報酬や給料、家賃です。ここを削れば人の話になり、しかも1.8万の営業利益を2倍にするには販管費を1.8万減らさなければなりません。一方、粗利の層は価格と原価でできています。粗利率を3%動かせば、営業利益は1.8万→4.8万、約2.7倍です。動かせるのは粗利です。
原因は「原価が見えていない」こと
「材料費×係数」で見積を作っている会社では、品番ごとの実原価が分かりません。すると、どの品番が赤字か、どの取引先の単価が3年据え置きかが分からず、値上げの根拠も作れません。
原価を品番別・取引先別に割り直すと、「忙しいのに儲からない」の正体が、特定の数品番・数取引先に集中していることが多くあります。
1日で確かめる方法
必要なのは、品番・SKU・案件・取引先のいずれかで売上データが出せること(生産管理システムでもExcelでも構いません)。粗利ドックは、代表が1日現場に入り、社長・工場長・経理へのヒアリングと見積の実物レビューを経て、取り戻せる粗利を品番別・取引先別に数字にします。診断だけで終えることもできます。