粗利ドック相談してみたい
粗利ドック›コラム›価格転嫁率54.2%の意味 ── 上がったコストの半分は粗利…
COLUMN ── 粗利改善の実務

価格転嫁率54.2%の意味 ── 上がったコストの半分は粗利から消えている

公開 2026-10-02 | 執筆 大越 隆行
この記事の要点
  1. 中小企業庁の2026年3月調査で、コスト上昇分のうち価格に転嫁できた割合は54.2%でした。裏返せば45.8%を自社で負担しています。
  2. 原材料費は55.7%、労務費は50.0%。賃上げした分の半分は価格に乗っていません。
  3. 材料費比率55%・材料20%上昇・転嫁率55.7%なら、粗利率は4.9%落ちます。これが「売上は変わらないのに利益が減った」の正体です。

調査の数字

出典:中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査」(2026年6月26日公表)。

「転嫁できなかった分」はどこへ行くのか

価格に乗せられなかったコスト上昇分は、値引きしたのと同じで、そのまま粗利から消えます。売上高は変わらないため決算の売上欄には現れず、粗利率の低下として静かに効きます。100社のうち全額転嫁できたのは27社。残りの73社は、上がった分の一部または全部を自社で負担しています。

自社の粗利率が何%落ちたかを計算する

材料費比率55% × 材料上昇20% = コスト増11.0%(売上比)。転嫁率55.7%なら転嫁できたのは6.1%、飲み込んだのは4.9%。粗利率は21.9% → 17.0%。

計算に必要なのは、自社の材料費比率、材料の上昇率、実際に通った値上げ幅の3つです。この4.9%分が、取り戻すべき粗利の上限であり、粗利ドックが「まず3%」と置く根拠です。

労務費が半分ちょうど、という意味

労務費の転嫁率50.0%は、賃上げした分の半分が価格に乗っていないことを示します。人を守るために利益を削っている構図です。2026年1月施行の取適法で、労務費を含む価格協議に応じないことは委託側の違反になりました。協議の席には着けます。残るのは、根拠となる自社の数字です。

数字を自社に当てはめるには

業界平均の転嫁率より重要なのは、自社の粗利率が材料高の前と比べて何%落ちたか、どの品番・どの取引先で漏れているかです。粗利ドックは、1日の現場診断でそれを品番別・取引先別に数字にします。

ARARI DOCK ── 1日診断
どこで粗利が漏れているか、いくら取り戻せるかを、1日で数字にします。

代表が1日現場に入り、品番別・取引先別の粗利をA4・8ページの診断レポートに。診断10万円(税抜)、診断だけで終了も可。成功報酬は増えた粗利額の20%にだけ連動します。

よくある質問

価格転嫁率とは何ですか?

コスト上昇分のうち、価格に転嫁できた割合です。54.2%なら、上がったコストの54.2%を価格に乗せ、残り45.8%を自社で負担していることを意味します。

転嫁率が低いのは営業力の問題ですか?

根拠となる原価の数字がないことが大きな要因です。品番別の実原価を示せる会社は、何%をどの根拠で言うかが決まります。

自社の転嫁率はどう測りますか?

材料・外注・労務の上昇額と、実際に通った値上げ額を取引先別に並べると分かります。粗利ドックの診断では取引先別・品番別に算出します。

関連コラム

売上はあるのに利益が残らない原因 ── 製造業の「原価が見えていない」構造取適法(中小受託取引適正化法)とは ── 2026年1月施行で下請法から何が変わったか粗利率を上げる方法 ── 製造業の中小企業が90日で実行できる3つの打ち手コラム一覧へ
執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール