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CASE ── 業種別モデルケース|運送・物流

営業所ごとの運賃基準をそろえて利益を戻す ── 3営業所・トラック95台、年商16.4億円の運送会社のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、運送・物流の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 営業所が複数ある運送会社では、①営業所ごとに運賃の水準や交渉の進み具合が違うこと、②倉庫での仕分け・保管などの作業を無償で行っていること、③協力会社に支払う傭車費の上昇を運賃に転嫁できていないことが、粗利を削りやすい要因です。
  2. 会社全体では黒字でも、営業所別に見ると赤字の営業所が別の営業所の利益を食っていることがあります。
  3. 営業所別・荷主別の採算をそろえて条件を見直すと、年商16.4億円規模で粗利率3ポイント弱、年間約4,583万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種運送・物流
年商16.37億円
従業員138名(トラック95台・3営業所)
主な取引先メーカー・卸・小売の物流部門(荷主約68社)

起きていたこと

3つの営業所で、メーカーや卸の荷物を中心に輸送と一部の倉庫作業を行っています。運賃の交渉は営業所長に任されており、進み具合にばらつきがあります。ドライバー不足で協力会社への傭車も増え、粗利率(運賃収入からドライバー人件費・燃料・車両費・傭車費などの運行原価を引いた利益率)は15%前後から12.4%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

営業所ごとに運賃水準が違う

同じような距離・荷姿の仕事でも、営業所によって運賃に1割以上の差があり、交渉の進み具合もばらばらでした。

倉庫作業が無償

荷主の要望で始めた仕分け・保管・ラベル貼りの作業が、運賃に含まれる扱いで続いていました。

傭車費の上昇を吸収

協力会社への支払いはこの2年で上がっていますが、その分を荷主の運賃に乗せられていませんでした。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

営業所別・荷主別の採算を出す

営業所ごとに運賃・運行原価・傭車費・倉庫作業の時間を集計し、採算の悪い荷主と営業所を特定する。

DAY 31〜60日

運賃基準をそろえて改定を申し入れ

距離・荷姿・時間帯ごとの運賃基準を全社で決め、基準を下回る荷主から運賃改定と倉庫作業料の設定を申し入れる。

DAY 61〜90日

傭車と自社車両の使い分け

傭車が採算に合う運行と合わない運行を分け、配車を組み直して実車率を上げる。

運賃収入から運行原価を引いた粗利率の変化(モデル)

BEFORE
12.4%
→
AFTER(想定)
15.2%
改善幅 +2.8pt / 年間の粗利増加 約4,583万円

計算:年商16.37億円 × 2.8ポイント = 約4,583万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

営業所が増えるほど、運賃の基準をそろえることが利益を守る仕組みになります。営業所長の交渉力に頼らない形にすることが大切です。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・営業所長・運行管理者・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、営業所別・荷主別・運行別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

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よくある質問

倉庫作業の料金を新たに求めるのは難しくないですか?

作業内容と時間を明示して提案すれば、荷主も社内で説明しやすくなります。2026年1月から、自社製品などを取引先へ届ける運送を委託する発荷主と運送事業者の取引も取適法の対象(特定運送委託)になりました。運送に伴う荷役や仕分けを無償で求めることは問題とされる場合があります(保管業務そのものは対象外。規模の関係で適用対象かは確認が必要です)。

営業所長が基準に従ってくれるか不安です。

距離帯・荷姿・時間帯で決めた基準運賃を下回る見積だけを本社承認にすると、営業所長の裁量を残しながら運用をそろえられます。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール