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CASE ── 業種別モデルケース|運送・物流

トラック28台の運送会社が運賃交渉を始めるまで ── 年商4.7億円のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、運送・物流の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. トラック30台前後の運送会社では、①元請の運送会社を経由した仕事の運賃が低いこと、②荷待ちや荷役の時間が無償になっていること、③車両ごとの採算が分からないことで、粗利が削られやすくなります。
  2. 売上の多くを元請運送会社経由の仕事に頼っていると、運賃の見直しが後回しになります。
  3. 車両別・荷主別の採算を出して運賃と条件を見直すと、年商4.7億円規模で粗利率3ポイント強、年間約1,463万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種運送・物流
年商4.72億円
従業員36名(トラック28台)
主な取引先元請運送会社・地元メーカー(荷主・元請約16社)

起きていたこと

社長が配車も兼ね、中型・大型トラック28台で地場とその周辺の輸送を行っています。売上の約半分は元請運送会社から回ってくる仕事で、運賃は数年前とほぼ同じ。燃料費と人件費の上昇で、粗利率(運賃収入からドライバー人件費・燃料・車両費などの運行原価を引いた利益率)は14%台から11.6%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

元請経由の運賃が低い

元請運送会社経由の仕事は、荷主から直接受ける仕事より運賃が1〜2割低く、燃料費の上昇分も反映されていませんでした。

荷待ち・荷役が無償

積み込み先での待ち時間や手積み・手降ろしの作業が運賃に含まれる扱いで、1運行あたり平均1時間半を無償で使っていました。

車両ごとの採算が分からない

どのトラックがどの仕事でいくら稼いでいるかを集計しておらず、赤字の運行を続けている車両がありました。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

車両別・荷主別の採算を出す

運行日報から車両ごとの売上・走行距離・拘束時間・燃料を集計し、採算の悪い運行と荷主を特定する。

DAY 31〜60日

運賃と荷待ち料金を申し入れ

燃料費と人件費の上昇、荷待ち・荷役の時間を示し、元請・荷主ごとに運賃の改定と附帯料金の設定を申し入れる。

DAY 61〜90日

直接取引の荷主を増やす

採算の悪い元請経由の仕事を減らし、地元の荷主との直接取引を増やす営業を始める。

運賃収入から運行原価を引いた粗利率の変化(モデル)

BEFORE
11.6%
→
AFTER(想定)
14.7%
改善幅 +3.1pt / 年間の粗利増加 約1,463万円

計算:年商4.72億円 × 3.1ポイント = 約1,463万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

小さな運送会社ほど、運行日報に交渉の材料が眠っています。待ち時間と車両別の採算を数字にすることが、運賃交渉の第一歩です。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・配車担当・経理担当へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、荷主別・車両別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

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どこで粗利が漏れているか、いくら取り戻せるかを、1日で数字にします。

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よくある質問

元請に運賃の話をすると、仕事を減らされませんか?

元請の運送会社も荷主から運賃の見直しを求められている時期です。実際に運ぶ側の原価データを渡すことは、元請にとっても荷主との交渉材料になります。なお、元請からの再委託は取適法の対象で、国が示す標準的運賃(荷待ち・荷役の料金を含む)も根拠になります。

日報が手書きで集計できません。

1か月分だけ、表計算ソフトに打ち込むだけでも、車両別の傾向は十分に分かります。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール