粗利ドック相談してみたい
粗利ドック›コラム›2工場ある板金メーカーで粗利がそろわない理由 ── 年商…
CASE ── 業種別モデルケース|金属加工(精密板金)

2工場ある板金メーカーで粗利がそろわない理由 ── 年商16.8億円・従業員118名のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、金属加工(精密板金)の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 工場や営業担当が複数ある板金メーカーでは、①生産管理システムの標準原価が古いまま、②営業担当ごとに値引きの判断がばらばら、③工場によって同じ品番の採算が違う、という3点で粗利が漏れやすくなります。
  2. システムで「黒字」と表示されていても、実際の原価で計算し直すと赤字という品番が出てきます。
  3. 標準原価を更新し、値引きのルールと工場間の比較をそろえると、年商16.8億円規模で粗利率3ポイント弱、年間約4,712万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種金属加工(精密板金)
年商16.83億円
従業員118名(2工場)
主な取引先産業機械・半導体装置・医療機器メーカー(約86社)

起きていたこと

本社工場と第二工場の2拠点で、試作から量産まで受けています。生産管理システムは入っていますが、標準原価は数年前に設定したまま。営業は5名で、それぞれが取引先との関係で値引きを判断しており、粗利率は22%台から19.6%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

システムの標準原価が数年前のまま

材料単価と賃率が古い前提で計算されており、システム上は黒字でも、実際の原価では赤字の品番が売上の約1割ありました。

値引きが担当者ごとにばらばら

同じような品番でも、担当者によって値引き幅が大きく違い、承認のルールもありませんでした。

工場間で同じ品番の採算が違う

段取りや設備の違いから、第二工場で作ると原価が1〜2割高い品番があり、工場の割り振りは受注順で決まっていました。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

標準原価を実態に合わせて更新

最新の材料単価・賃率・段取り時間で標準原価を作り直し、工場別・品番別・取引先別の採算を一覧にする。

DAY 31〜60日

値引きの承認ルールと単価改定

粗利率の基準を下回る値引きは営業部長の承認制にし、赤字品番と据え置き取引先から順に単価改定を申し入れる。

DAY 61〜90日

工場の割り振りを採算で決める

品番ごとにどちらの工場で作ると原価が低いかを比較し、生産の割り振りと段取りを見直す。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
19.6%
→
AFTER(想定)
22.4%
改善幅 +2.8pt / 年間の粗利増加 約4,712万円

計算:年商16.83億円 × 2.8ポイント = 約4,712万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

規模が大きくなると、粗利の漏れは「仕組みのずれ」から生まれます。システムの数字を実態に合わせ直すことが、交渉や現場改善の出発点になります。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・工場長・営業部長・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、工場別・品番別・取引先別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

ARARI DOCK ── 1日診断
どこで粗利が漏れているか、いくら取り戻せるかを、1日で数字にします。

代表が1日現場に入り、工場別・品番別・取引先別の粗利をA4・8ページの診断レポートに。診断10万円(税抜)、診断だけで終了も可。成功報酬は増えた粗利額の20%にだけ連動します。

よくある質問

システムを入れ替えないといけませんか?

多くの場合、標準原価のマスタを更新することで対応でき、システムの入れ替えまでは必要ないことがほとんどです。

営業が値引きの承認制に反発しませんか?

承認が必要なのは、更新後の標準原価で計算した粗利率が基準を下回る見積だけにすると、通常の商談はこれまでどおり進められます。

関連コラム

精密板金の粗利が漏れる3つの場所 ── 年商8.4億円・試作から量産までの会社のモデルケース社長が見積を抱える小さな板金工場の粗利の守り方 ── 年商4.6億円・従業員22名のモデルケース赤字品番・赤字取引先の見つけ方 ── 品番別・取引先別に原価を割る手順コラム一覧へ
執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール