モデルケースの会社
起きていたこと
試作から量産まで一貫で受けられることが強みで、受注は堅調。ところが、ここ3年で材料(SPCC・ステンレス)や電気代が上がり、粗利率は24%台から21%まで下がっていました。社長は「忙しさは変わらないのに、決算のたびに利益が減る」と感じていますが、どの仕事が儲かっていないのかは分かっていません。
診断で見えた「粗利の漏れ」
試作・小ロット品の段取り時間が見積に入っていない
プログラム作成、ブランク・曲げの段取り替えに1件あたり1〜2時間かかる一方、見積は材料費×係数。数量10個以下の品番の多くが、実原価では赤字でした。
主要取引先の単価が3年据え置き
売上上位10社のうち4社は、材料高の前から単価改定がありません。この4社で売上の約4割を占めています。
外注工程の値上がりを吸収している
溶接・塗装・メッキの外注先はこの2年で値上げしていますが、自社の売価には反映されていませんでした。
90日の打ち手(モデル)
品番別の実原価を出す
直近12か月の品番別売上・数量に、材料実績・外注実績・工程時間×賃率を割り当て、赤字品番と据え置き取引先を一覧にする。
値上げの順番と幅を決めて交渉
据え置き期間が長く粗利率の低い取引先から順に、材料・外注・電気代の上昇を数字で示して単価改定を申し入れる。
小ロット品のルールを作る
最小ロット・段取り費の別建て・試作単価表を作り、見積の段階で赤字品番が生まれないようにする。
粗利率の変化(モデル)
計算:年商8.37億円 × 3.2ポイント = 約2,678万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。
このケースから言えること
精密板金の会社は「何でも作れる」ことが強みであるほど、手間のかかる仕事を安く受けてしまいがちです。値上げより先に、どの品番・どの取引先で漏れているかを数字で見ることが出発点になります。
粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・工場長・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、品番別・取引先別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。