粗利ドック相談してみたい
粗利ドック›コラム›樹脂成形の粗利を削る原料・金型・不良の3点 ── 年商1…
CASE ── 業種別モデルケース|樹脂成形(プラスチック製品製造)

樹脂成形の粗利を削る原料・金型・不良の3点 ── 年商12.1億円の成形メーカーのモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、樹脂成形(プラスチック製品製造)の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 樹脂成形で粗利が削られやすいのは、①樹脂原料の値上がりと単価の連動がないこと、②金型のメンテナンス・保管費を自社で負担していること、③成形不良・パージ(材料替え)によるロスです。
  2. 原料比率の高い品番ほど、原料高の影響を受けます。単価に原料連動の取り決めがないと、上がった分はそのまま粗利から消えます。
  3. 品番別に原料比率と不良率を出し、取引先ごとに条件を見直すと、年商12.1億円規模で粗利率3ポイント強、年間約4,006万円の改善余地が見えてきます。

モデルケースの会社

業種樹脂成形(プラスチック製品製造)
年商12.14億円
従業員73名
主な取引先自動車部品・家電・日用品メーカー(約34社)

起きていたこと

自動車部品や家電の部品を中心に、射出成形機30台で量産しています。ナフサ価格の上昇とともに樹脂原料が値上がりしましたが、単価の見直しは一部の取引先にとどまり、粗利率は21%台から18.5%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

原料連動の取り決めがない品番が多い

売上の約6割を占める品番で、樹脂原料の価格が変わっても単価を見直す取り決めがありませんでした。

金型のメンテナンス・保管費を自社が負担

取引先から預かっている金型が200型以上あり、メンテナンス・保管の費用を誰が持つか決まっていないまま、自社で負担していました。

小ロット化で不良・パージロスが増えた

多品種少量化で材料替え・色替えが増え、立ち上げ時の不良やパージ材のロスが、売上の約2%に相当していました。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

品番別に原料比率と不良率を出す

品番ごとの原料使用量×最新単価、立ち上げ不良・パージ量を集計し、原料高の影響が大きい品番と取引先を特定する。

DAY 31〜60日

原料連動と金型費の条件を申し入れ

原料比率の高い品番から、原料価格に連動して単価を見直す条件を提案。あわせて金型の保管・メンテナンス費の負担を取り決める。

DAY 61〜90日

段取り・材料替えのロスを減らす

生産計画を色・材料ごとにまとめ、材料替えの回数とパージ量を減らす。立ち上げ不良の基準を決めて記録する。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
18.5%
→
AFTER(想定)
21.8%
改善幅 +3.3pt / 年間の粗利増加 約4,006万円

計算:年商12.14億円 × 3.3ポイント = 約4,006万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

成形メーカーの粗利は、原料価格という外部要因に大きく左右されます。だからこそ、原料連動の取り決めと金型費の負担ルールという「契約の形」を整えることが、現場改善と同じくらい効きます。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・工場長・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、品番別・取引先別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

ARARI DOCK ── 1日診断
どこで粗利が漏れているか、いくら取り戻せるかを、1日で数字にします。

代表が1日現場に入り、品番別・取引先別の粗利をA4・8ページの診断レポートに。診断10万円(税抜)、診断だけで終了も可。成功報酬は増えた粗利額の20%にだけ連動します。

よくある質問

原料連動の条件は、取引先に受け入れられますか?

原料価格の公的な指標や仕入価格の推移を示し、上がったときも下がったときも見直す双方向の条件にすると受け入れられやすくなります。

金型の保管費を請求するのは無理があるのでは?

取適法でも、型の無償保管を受託側に求めることは問題とされています(取引先との資本金・従業員規模の関係で、適用対象かどうかは確認が必要です)。保管型の数と費用を一覧にして話し合うのが第一歩です。

関連コラム

取適法(中小受託取引適正化法)とは ── 2026年1月施行で下請法から何が変わったか価格転嫁率54.2%の意味 ── 上がったコストの半分は粗利から消えている精密板金の粗利が漏れる3つの場所 ── 年商8.4億円・試作から量産までの会社のモデルケースコラム一覧へ
執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール