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CASE ── 業種別モデルケース|金属加工(精密板金)

社長が見積を抱える小さな板金工場の粗利の守り方 ── 年商4.6億円・従業員22名のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、金属加工(精密板金)の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 社長が営業と見積を一人で抱える板金工場では、①見積が社長の経験と記憶に頼っていること、②売上の大半を占める上位3社の単価が長く動いていないこと、③急ぎの仕事に割増を付けていないことで粗利が漏れやすくなります。
  2. 社長が忙しいほど見積は「前回と同じ」になり、材料や電気代の上昇が置き去りになります。
  3. 見積の根拠を簡単な表にして上位取引先から単価を見直すと、年商4.6億円規模で粗利率3ポイント強、年間約1,435万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種金属加工(精密板金)
年商4.63億円
従業員22名
主な取引先地元の装置メーカー・商社(約27社。上位3社で売上の約6割)

起きていたこと

社長が営業・見積・段取りの指示まで一人で担い、職人20名ほどで受注をこなしています。上位3社とは20年以上の付き合いがあり、単価の話は切り出しにくいまま。材料と電気代が上がる中で、粗利率は23%台から20.4%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

見積が社長の頭の中にある

見積は過去の似た品番を思い出して決めており、材料単価や加工時間の変化が反映されていませんでした。社長の不在時は見積が止まります。

上位3社の単価が5年以上ほぼ据え置き

売上の約6割を占める3社は、付き合いの長さから単価改定の申し入れをしておらず、材料高の影響を最も大きく受けていました。

特急対応が無償

「明日までに」という依頼に残業や段取りの組み替えで応じていましたが、特急料金は付けていませんでした。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

見積の根拠を1枚の表にする

材料費・切断と曲げの時間・段取り時間・外注費を項目にした簡単な見積表を作り、主要20品番の実際の原価を出す。

DAY 31〜60日

上位3社に根拠を示して相談

材料・電気代の上昇と品番ごとの原価を示し、関係を大事にしながら単価の見直しを相談する。一度に全品番ではなく、赤字の品番から始める。

DAY 61〜90日

特急料金と最小ロットを決める

納期の短い依頼に割増を設け、少量品の最低金額を決めて、見積表に組み込む。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
20.4%
→
AFTER(想定)
23.5%
改善幅 +3.1pt / 年間の粗利増加 約1,435万円

計算:年商4.63億円 × 3.1ポイント = 約1,435万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

小さな工場ほど、社長の経験は大きな財産です。それを見積表という形に移すだけで、値上げの根拠ができ、社長以外でも見積が出せるようになります。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・現場リーダー・経理担当へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、品番別・取引先別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

ARARI DOCK ── 1日診断
どこで粗利が漏れているか、いくら取り戻せるかを、1日で数字にします。

代表が1日現場に入り、品番別・取引先別の粗利をA4・8ページの診断レポートに。診断10万円(税抜)、診断だけで終了も可。成功報酬は増えた粗利額の20%にだけ連動します。

よくある質問

長い付き合いの取引先に値上げを切り出すのが怖いです。

いきなり全品番の値上げではなく、原価を示して赤字の品番から相談すると、話を聞いてもらいやすくなります。

事務員が1人しかおらず、データを集める余裕がありません。

まずは売上の大きい20品番だけで十分です。1日診断でも、その範囲を一緒に整理します。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール