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CASE ── 業種別モデルケース|機械工具・資材卸

4拠点の機械工具商社で粗利率をそろえる ── 年商14.1億円・従業員46名のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、機械工具・資材卸の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 拠点が複数ある機械工具・資材の商社では、①拠点ごとに値決めの基準が違うこと、②拠点間で在庫が偏り、ある拠点で余って別の拠点で急ぎ仕入れていること、③大口得意先の特価が長年見直されていないことが、粗利を削りやすい要因です。
  2. 拠点長の裁量で決まる売価は、同じ商品・同じ規模の得意先でもばらつきます。
  3. 拠点別・得意先別の粗利を出し、値決めと在庫の運用をそろえると、年商14.1億円規模で粗利率2ポイント強、年間約3,379万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種機械工具・資材卸
年商14.08億円
従業員46名(4拠点)
主な取引先製造業・工事業者・設備会社(約640社)

起きていたこと

本社と3つの営業所で、製造業や工事業者に工具・資材・機器を販売しています。売価の決め方は拠点長に任されており、拠点ごとに粗利率が違います。大口の得意先には10年以上前に決めた特価が残っており、粗利率は18%台から15.7%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

拠点ごとに値決めの基準が違う

同じ商品でも拠点によって売価に差があり、粗利率の最も高い拠点と低い拠点で4ポイント以上の開きがありました。

拠点間の在庫の偏り

ある拠点で1年以上動かない在庫がある一方、別の拠点では同じ商品を急ぎで仕入れていました。

大口得意先の特価が古い

上位10社の得意先に、メーカー値上げの前に決めた特価がそのまま残っていました。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

拠点別・得意先別の粗利を出す

販売データから拠点別・得意先別・商品別の粗利率を出し、基準を下回る取引と古い特価を一覧にする。

DAY 31〜60日

全社の値決め基準と特価の見直し

商品群ごとに全社共通の値入率の基準を決め、大口得意先の特価は期限と条件付きに切り替えて順に改定を相談する。

DAY 61〜90日

在庫を全拠点で一元管理

拠点ごとの在庫を一覧で見られるようにし、拠点間で融通してから仕入れる運用にする。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
15.7%
→
AFTER(想定)
18.1%
改善幅 +2.4pt / 年間の粗利増加 約3,379万円

計算:年商14.08億円 × 2.4ポイント = 約3,379万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

拠点が増えるほど、売価と在庫の「全社ルール」が粗利を守ります。拠点長の経験は活かしつつ、基準は一つにそろえることが大切です。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・営業部長・物流責任者・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、営業所別・商品別・得意先別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

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よくある質問

大口得意先の特価を見直すと、取引が減りませんか?

メーカー値上げの経緯と取引全体の採算を示し、期限付きの特価に切り替える形で相談すると、関係を保ちながら見直せます。

拠点長が基準に反発しないか心配です。

値入率の基準より上は拠点長の判断に任せ、基準を割る特価だけを本社で確認する形にすると、拠点の実情を活かしながら全社の水準をそろえられます。

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執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール