粗利ドック相談してみたい
粗利ドック›コラム›機械工具卸の粗利を削る売価改定の遅れと特価 ── 年商6…
CASE ── 業種別モデルケース|機械工具・資材卸

機械工具卸の粗利を削る売価改定の遅れと特価 ── 年商6.9億円・地域の工具商社のモデルケース

公開 2026-10-30 | 執筆 大越 隆行

※本記事のケースは、機械工具・資材卸の中小企業でよく見られる状況をもとに構成したモデルケースです。特定の企業の事例ではなく、数値は説明のための例です。

この記事の要点
  1. 機械工具・資材卸で粗利が削られやすいのは、①メーカーの値上げ後も旧売価のまま販売していること、②一度出した特価が常態化していること、③動かない在庫です。
  2. 取扱品目が数万点に及ぶため、売価の更新が追いつかず、気づかないうちに粗利が薄くなります。
  3. 売価改定の手順と特価のルールを整えると、年商6.9億円規模で粗利率2ポイント強、年間約1,660万円の改善余地があります。

モデルケースの会社

業種機械工具・資材卸
年商6.92億円
従業員19名
主な取引先地域の製造業・工事業者(約290社)

起きていたこと

地域の製造業や工事業者に、切削工具・測定器・作業用品などを販売しています。メーカー各社がここ数年で何度も値上げしましたが、売価の更新は営業担当が気づいたものだけで、粗利率は18%台から16%まで下がっていました。

診断で見えた「粗利の漏れ」

メーカー値上げ後も旧売価

売上上位の商品のうち、メーカーの値上げ後に売価が改定されていないものが約2割ありました。

特価が常態化

競合対策で一度出した特価が、期限を決めないまま何年も続いている得意先がありました。

動かない在庫

1年以上出荷のない在庫が在庫金額の約15%を占め、保管と資金の負担になっていました。

90日の打ち手(モデル)

DAY 1〜30日

売価と仕入価格のずれを洗い出す

売上上位の商品について、最新の仕入価格と現在の売価を並べ、値入率が基準を下回る商品と得意先を一覧にする。

DAY 31〜60日

売価改定と特価の整理

メーカー値上げの通知を受けたら一定期間内に売価を改定する手順を作り、期限のない特価は期限付きに切り替える。

DAY 61〜90日

在庫の見直し

1年以上動きのない在庫を処分・返品・特売で整理し、発注点を見直す。

粗利率の変化(モデル)

BEFORE
16.0%
→
AFTER(想定)
18.4%
改善幅 +2.4pt / 年間の粗利増加 約1,660万円

計算:年商6.92億円 × 2.4ポイント = 約1,660万円(売上が同じと仮定した場合)。効果は企業の状況により異なります。

このケースから言えること

商社・卸の粗利改善は、交渉よりも「仕組み」で進みます。値上げ通知から売価改定までの手順を決めるだけでも、粗利の目減りを抑えられます。

粗利ドックの1日診断では、代表が1日現場に入り、社長・営業責任者・経理へのヒアリング、現場観察、見積や伝票の実物レビューを経て、商品別・得意先別にどこで粗利が漏れ、どれくらい取り戻せる余地があるかをA4・8ページの診断レポートにまとめます。

ARARI DOCK ── 1日診断
どこで粗利が漏れているか、いくら取り戻せるかを、1日で数字にします。

代表が1日現場に入り、商品別・得意先別の粗利をA4・8ページの診断レポートに。診断10万円(税抜)、診断だけで終了も可。成功報酬は増えた粗利額の20%にだけ連動します。

よくある質問

特価をやめると、競合に取られませんか?

すべてをやめるのではなく、期限と条件(数量・品目)を付けることで、本当に必要な特価だけを残せます。

数万点の商品をすべて見直すのは無理です。

売上上位の数百点で、粗利額の大半を占めていることがほとんどです。そこから始めれば十分です。

関連コラム

価格転嫁率54.2%の意味 ── 上がったコストの半分は粗利から消えている赤字品番・赤字取引先の見つけ方 ── 品番別・取引先別に原価を割る手順食品卸の薄い粗利は値入れと配送で決まる ── 年商17.9億円・業務用食品卸のモデルケースコラム一覧へ
執筆:大越 隆行(T&Fアセットマネジメント株式会社 代表取締役兼CEO)Amazonで世界基準のオペレーションに携わった後、プライム上場企業の構造改革推進室で値上げ交渉・事業再生・撤退・M&Aを実行。粗利ドックの診断・伴走・再建はすべて本人が現場に入ります。プロフィール